気ままに日向坂

日向坂46のコンサート(セットリスト)についてをメインに、音楽活動について思ったことを書いていきます

コンサートの型(タイプ)について

『全国おひさま化計画2021』のセトリを考えた時の記事に書いた、

[馬→ソンコト→no war →しかたん]で行こうと思ったのですが、02〜04までがちょっとくどいかなと思ったんですよね。

(中略)

上述した「くどいかな」というのは、アリーナクラスで盛り上がる系統を3曲連続でやるのはさすがに長いかなという意味です(A+B+B+Bではくどい、A+A+B+Bなら大丈夫という感じ、伝われ、いつか記事にしたい)。

日向坂46「全国おひさま化計画 2021」セットリスト考案大会 - 気ままに日向坂

という部分。特に

A+B+B+Bではくどい、A+A+B+Bなら大丈夫という感じ、伝われ、いつか記事にしたい。

という部分です。この思考回路はセトリを考える時は基本頭にあって、文字通り「いつか記事にしたいな」と考えていたんですけど、ようやく書くタイミングが来ました。そしてやる気スイッチも押されました。

 

私は2008年・2009年あたりから嵐のコンサートにハマりました。その当時は、広い会場やステージセットなどに夢中でしたが、高校生ぐらいからiPhoneのプレイリストをセットリストっぽく組むようになってから、嵐のコンサートも当時大好きだったAKBのコンサートもセットリストを中心に観るようになりました。

 

セトリをいくつも見てきて実際に自分で考えてみると、特にオープニングブロックとクロージングブロックには、「型(タイプ)」があると気づくんですよね。もちろん、その型が同じアーティストで何度も使われてることは(マンネリを防ぐという観点から)多くないし、後述するもの以外にもたくさんの型(タイプ)があります。話すと長くなるのでとっとと解説します。

解説には日向坂46のコンサート(楽曲)ではなく嵐のコンサート(楽曲)を使って解説します。イメージがつきにくい人のためにも頑張って書いていきます。

 

以下で使うアルファベットなんですけどこんな感じをイメージしてください。これを頭に入れれば読みやすいです。

A:カッコいい曲(魅せる曲)

B:楽しい曲だけど会場を周る曲

C:楽しい曲だけどパフォーマンスに集中する曲

D:バラード、スローナンバー

E:クロージングナンバーっぽい雰囲気のある曲

F:ミドルナンバー

X:A~Cのどれか

※Fのミドルナンバーは、特にオープニングブロックに関してはブロックの最後にクールダウンの役割で選曲されることがほとんどなので、以下の解説では割愛します。

 

今回はブロックの曲数を、オープニングブロック:4曲、クロージングブロック:3曲にしてますがあくまで参考程度でお考えください。平均的にこのくらいの曲数かな、という感じです。

 

また、会場の大きさによってタイプを変更せざるを得ない時も出てきます。「この曲は東京ドームではBとして使えるけど、横浜アリーナだとCでしか機能しない」みたいなパターンも全然あるので、基本的にはドームクラスを想像してくださると読みやすいかと思います(嵐を例に出して日向坂のセトリを今後考えていきたいため)。

 

 

 

オープニングブロックの場合

1.A+A+B+Bタイプ

2曲目にAを起用するのは、「1曲目で作られた雰囲気を活かすために2曲続けてカッコいい曲を使う場合」と「1曲目で作られた雰囲気からガラッと変えるために2曲目にAを入れる場合」があります。1曲目と2曲目は、観客もめちゃくちゃ昂ってるので何が起こるか分からないというワクワク感をコントロールしやすい時間です。なのでAを続けて畳み掛けることで「今回はただ楽しいだけのコンサートではないのかもしれない」などという意識を植え付けることも出来ます

 

このタイプが適用された良い例は、untitledツアーの[Green Light→I'll be there]です。2015ツアーの[Sakura→miyabi-night]やアラフェス2013の[Face Down→Crazy Moon(→truth)]もそうですね(このセトリ考えた松潤マジ神)。Aが2曲続くと、オープニングブロックの中でもまた1つのブロックが出来て総じて綺麗にまとまるんですよね。そうするとそのあとのBがより映える。untitledツアーはめちゃくちゃ観やすい作りになってるので良かったらぜひ(ARASHI - ARASHI LIVE TOUR 2017-2018「untitled」 - YouTube)。

 

2.C+A+X+Xタイプ

このタイプのAは、1曲目とは違うギアに変えてアクセルをグッと踏み込むイメージです(オートマ免許しか持ってないので上手く例えられない)。曲間をあまり入れずに始めた方が効果的に雰囲気を変えられます。ちなみに1曲目をCに選ぶのは「2曲目を実質的な1曲目として認識して選曲する場合」や「Cで作られた空気を引き締める→3曲目との緩急(フリ)にもなる→観客を飽きさせない」ためです。良い例としては、宮城2015の[ワイルド アット ハート→PIKA☆☆NCHI]ですね。厳密にいえばこのコンサートにおいての『ワイルド アット ハート』はBなんですけど、Aの使い方を知るという意味ではこのコンサートかなと思います。

 

3.C+B+B+Cタイプ

これは、初ドームコンの[A・RA・SHI→サクラ咲ケ→ハダシの未来→Lucky Man]ですかね。大体のコンサートは、どれだけ楽しい曲でも1曲目はちゃんと踊ってパフォーマンスします。なので、そのコンサートの意義やコンセプト次第では2曲目からが肝心です。例に出したこのコンサートは、アジアツアーの千秋楽・これまでの活動の集大成・しかもグループが売れかけている時期なので、とにかく勢いが必要。さらにこの時はメンバーもみんな若いので煽りもキレキレで、観てる方も興奮してくる。まずは『A・RA・SHI』でキメて『サクラ咲ケ』で煽りまくって『ハダシの未来』で観客と一つになったら、センターステージに集合して『Lucky Man』でさらに煽って昂らせる。

 

このタイプは4曲目のCが重要で、3曲目までで疲れたり飽きちゃってる人を元に戻すという意味合いがあります。さらに「2曲目と3曲目でバラけていた観客の視線が再び一点に集中する」ことでさらに一体感が増します。そしてブロックの纏まりも良くなる。

ちなみにここでは4曲バージョンを紹介してますが、C+B+Cの3曲だった場合は、Bはそこまで盛り上がる曲じゃなくても大丈夫です。

 

4.A+B+B+Bタイプ

「コンサートの基本は楽しくなること」だと私は思います。テンポの速い明るい曲で、歌ったり踊ったり手拍子したり振りを真似たり。このタイプはそれを一番感じれるものだと思います。これは国立2011の[Believe→Oh Yeah!→言葉より大切なもの→A・RA・SHI]という部分が良い例です。このコンサートは3.11の年なので「とにかく元気を届けるため」の内容です。そういうコンサートだと感じさせるためにはオープニングブロックで最低で3曲「楽しくなる」曲を並べて、①みんなに元気になってもらう、さらに観客の近くに移動する演出を加えることで②好きな人が近くにいる喜びを感じてもらう。これが重要なのです。この掛け合わせはアイドルのコンサートでは基本中の基本ですね。

 

このタイプで注意したいのは「3曲連続のBで飽きを感じさせないようにすること」です。特に4曲目のBは、それまでの2曲と同じような演出(ただ会場を周ってるだけ等)にすると、ブロックだけでなくコンサート自体にまとまりがないと思われかねない(少なくとも私はそう思う)ので、曲間を上手く取る・ステージセットを使って視覚的な新鮮味を与えるなどして工夫する必要があります。

 

5.A+B+B+Cタイプ

このタイプはC+B+B+Cの亜種なんですけど、これと違う点としては「オープニングブロックを楽しい雰囲気のみで通すのか否か」という点です。なので、C+B+B+AやA+B+B+Aでも応用出来ます。また最後をBにしない理由は「ブロック終わりを雑に終わらせないため」です。終わり良ければ総て良し的な感じです。

メンバーがバラバラに捌けるのと、ちゃんと踊ったり一つの場所で同時に捌けるのとではオープニングブロックというパッケージとしての見栄えは全く違います。このタイプはC+B+B+Cタイプと並んでアイドルグループなら基本のタイプだと思いますね。嵐のライブで例えるなら、2004ツアー[JAM→五里霧中→PIKA☆NCHI(→PIKA★★NCHI DOUBLE)]、国立2010の[movin' on→揺らせ、今を→Troublemaker]などです。

 

5-2.A+B+B+C+Bタイプ

オープニングブロックって別に2曲〜5曲じゃなくても7曲〜10曲とかやってもいいと思うんですよね。日向坂のコンサートは、フルサイズを2曲もしくは3曲やってオープニングブロックを終えちゃうので、正直「曲の長さをライブサイズにしてもうちょっとやってもいいと思うけどな」って思います。まあ好みですけどね。

このタイプみたいにCの後にBを入れる理由は「予想より長い!」といういい意味での期待外れを感じてもらうためです。良い例は、国立2010の[movin' on→揺らせ、今を→Troublemaker→Happiness→Attack it!→Everything]ですかね。

 

6.X+X+X+X+Z+X+X+Xタイプ

これは長いオープニングブロックの場合です。私の定義するオープニングブロックとは、「着替えやミドルナンバーが伴っても流れが途切れないブロックのこと」すなわち、「VCRやインタールードやMCを挟んだらそれはブロックの区切りである」ということです。

またオープニングブロックを長くする理由としては「コンサートの早めの段階で会場を一つにさせて1日のピークに持っていく」「高揚感をコントロールしやすいオープニングから心を掴む(先手必勝的な感じ)」「コンサートの基本である”楽しさ”をとにかく感じてもらう」などが挙げられると私は考えます。アルファベットの意味としては、Xは「これまで紹介したA,B,Cどれにも当てはめることが可能」という意味、Zは「着替えやミドルナンバーなどのオープニングブロックの転換点になる曲」を意味します。

 

良い例は、初国立2008の[Love so sweet→Oh Yeah!→きっと大丈夫→La tormenta 2004→Happiness→ハダシの未来→アオゾラペダル]の部分です。3曲目ではメンバーが別々の場所で歌いブリッジ辺りでメンバー2人が着替えのためにステージ下に捌け、4曲目になったらその2人が登場します。この『La tormenta 2004』という曲はSMAPでいう『FIVE RESPECT』のようなメンバー紹介ラップソングです。なので最初からメンバー全員がステージ上にいる必要がない。これを上手く使った構成です(ちなみにこの曲がZの部分です)。そして全員集合したらスタンドを周って、「楽しい曲で楽しくなる」「メンバーが近くに来た高揚感」というこの2つを同時に体感出来るようにする時間を設ける、みたいな感じです。

 

話は逸れますが、この国立コンサートは、「偉大な先輩であるSMAPの次に国立競技場でコンサートをしたジャニーズグループ」と「初めての国立」というのが分かりやすいテーマとしてあるので(もう1つのテーマは「アジアライブ前の決意表明」)、「まずは国立競技場という会場を楽しもう」というのが前面に出ているように見えます。

 

私が日向坂のスタジアムライブを演出するとしたらこのタイプを使いますね。ちなみに日向坂初ドームコンサートのセトリを考えた時もこのタイプを用いました。それは、東京ドームという会場をとにかく体感して楽しんでもらいたいからです。以下のセトリだと05とダンスブレイクがZに当たります。

<本編>

00. OPENING VCR

01. Overture

02. 約束の卵

03. 誰よりも高く跳べ!

04. キツネ

05. 窓を開けなくても

- Dance Break(1期生→2期生→3期生→全員)

06. キュン

07. 好きということは...

08. ひらがなで恋したい

09. ドレミソラシド

日向坂46 東京ドームコンサート2021 セットリスト考案 - 気ままに日向坂

 

クロージングブロックの場合

1. B+B+Aタイプ、B+B+Cタイプ

前記は「勢いそのままでカッコいい曲をやって力技で締める」、後記は「勢いそのままで楽しい雰囲気をさらに膨らませて締める」みたいな感じです。共通しているのは、オープニングブロックでも説明した「パッケージとして最後をきっちりと締めるためにAもしくはCを歌う」ということです。このタイプを一言で表すなら「逃げ切り型」。つまり、Bの前にMCを入れないで流れを止めずに本編を締めます。

 

私はクロージングナンバーの前にMCを入れるコンサートが好みではないので出来ればこのタイプで締めたいですね。嵐のライブで例えるとアユハピツアーの[Happy Medley]です。9曲目のラストである『愛を叫べ』で、コンサートとクロージングブロックを纏めます。このタイプにおけるAとCは、実質的にはE(クロージングナンバーっぽい曲)の役割でもありますね。

 

2.(MC)+Dタイプ、(MC)+Eタイプ

王道パターンです。MCで「本日はありがとうございました。皆様のおかげで今の私たちがあります」的な感じの挨拶をして、いかにもクロージングナンバーっぽい曲を歌って締める。良く言えば”王道”、悪く言えば”普通”。だから、何でもかんでもこの王道タイプで締めるのではなくて、例えば日向坂だったら初東京ドームコンサートのように、大事な時ぐらいでいいと思うんですよね(まあそんなこと気にしてるのは私だけかもしれませんが)。でも「パッケージとしてきっちりと締める」という目的ではめちゃくちゃ優秀なんですけどね。

どうでもいいけどこの「いかにもクロージングナンバーっぽい曲」って一言で何て言うんだろう。

 

3.(JUNCTION)+A+Aタイプ

新曲とかで「よっぽど自信を持ってクロージングブロックとして送り出せる曲があるかどうか」にかかってますが、これはコンサート本編の最後をきっちり締めるためのタイプですね。楽しい曲を並べて「あっ、もうすぐでコンサート終わりそうだな」っていうムードをふわふわと漂わせる(私はこれを「フェードアウト型」と呼んでいます)のではなく、パフォーマンスに集中出来る曲でしっかりパッケージする。楽しく終わる・湿っぽく終わるだけがコンサートではありません。

このような、パフォーマンスに圧倒されてどよめきが残るような締め方が私は一番好きですね。digitalianツアーの[Hope in the darkness→Zero-G]、untitledツアーの[Song for you→「未完」]が良い例ですね。日向坂もこういう締め方が出来るグループになってほしい。

 

4.(MC)+D+Eタイプ

普通過ぎてつまんないと思ったら最後に1曲付け足せばそれは”工夫”になります。最たる例は2020.12.31ライブの「The Music Never Ends→Love so sweet」です。ドーム2007の[Be with you→Happiness]、国立2010の[To be free...→空高く]、国立2011の[果てない空→遠くまで]とかもそうですね。バラードを歌って締めるのが普通すぎると思ったらその後に何曲か入れればいいんですけど、そこに入れる曲って意外と難しいんですよね。ちなみにD+E+Cでグラデーションをつけて締める方法もあります。

 

5. X+X+Eタイプ

これもよく見かけるタイプですね。理屈は上述してきたものと同じです。嵐のコンサートだと初国立2008の[A・RA・SHI→PIKA☆☆NCHI DOUBLE→明日に向かって吠えろ→ONE LOVE]ですね。珍しくMCを挟まずに本編を締めたコンサートなのでとても好きです。日向坂だったら『JOYFUL LOVE』がEを担いますが、特にこの曲に関してはクロージングナンバー以外のところでもやってくれよと思うんですよね。事あるごとにこの曲で締める。柔軟性がないというか意地になってるのか分からないが、思考停止しちゃいけないよ。

 

6. B+B+Bタイプ

これはあまり見ないタイプですが、メンバーが散り散りで楽しい曲を歌って、曲が終わるタイミングでメインステージに戻ってきて締めるというものです。私はSMAPの『無限大飛翔』ライブと『BIRDMAN』ライブを思い浮かべました。

 

終わりに

もちろん、このタイプ以外で説明出来るコンサートもありますが、どのコンサートもこれらの型(タイプ)の応用だと思います。私はこれらのタイプを参考にいつもセトリを考えています。

オープニングブロックは、バラードなどのスローナンバーやミドルナンバーで始めるタイプもありますね。5×10(5×20)ツアーの『感謝カンゲキ雨嵐』やJaponismアリーナツアーの『ただいま』が良い例ですかね。このタイプは、「このコンサートにおいて一番重要なのはこの曲だ」「曲に勢いがなくてもメッセージを届けるためにこの曲から始めるべきだろう」という曲が存在する時に力を発揮します。日向坂46だったら、初ドームコンサートで『約束の卵』を歌うべきです。「1曲目っぽいから」という理由などでドレミとかNO WARで始めることはあってはならないと考えます。